築後20年以上たった公団住宅の同じ間取りの1階から5階の住戸を、4通りにリフォームした事例の紹介です。
■分譲マンションの状態
この分譲マンションは、階段の両側に住戸がある階段型です。
5階建てですが、エレベーターはありません。
1戸100㎡と、当時にしては広い面積です。
鉄筋コンクリート・壁式構造なので、住戸内に柱や梁がない反面、壁は移動できません。
天井はコンクリートスラブが直接天井になっているため、天井の高さを変えることはできません。
床は配管が入っている所だけ、二重床になっています。
暖房はガスによる温水式セントラルヒーティングで、各室に床置き型の暖房機がついていました。しかし冷房機能はついていません。
故障した場合は、暖房機の交換をしなければならず費用がかさむため、個別のエアコンに入れ替える住戸が多いということでした。
家族構成こそ違え、4件ともご夫婦は50代。
4階までの住人は、できればこのまま住み続けたいと願っていました。
しかし5階のDさんは、年をとって階段の上り下りがつらくなれば引っ越したいと考えていました。エレベーターのないことが、リフォームの考え方に影響を及ぼしています。
■全体のまとめ
このマンションのリフォームは、4階のCさん(「収納を充実させたプラン」)が最初でした。
4階の工事をしている最中に、3階のBさん(「キッチン廻りを中心にリフォーム」)が見に来られ、「自分のところもリフォームしたいので相談に乗ってほしい」と言われました。
実際に工事現場を見ることで、リフォームの可能性がよくわかり、自分のところもやりたいという希望が出てきたのだと思います。
連鎖反応で、同じマンション内で次々設計の依頼があり、4つの住戸がそれぞれショールームのような働きをしました。全4戸が完成する頃には、お茶に招き合う仲になり、コミュニケーションがうまくいくようになりました。
「遠くの親戚より近くの他人」と言いますが、年を重ねていくにつれ、隣近所とのお付き合いは不可欠です。リフォームを通してそんな関係をつくれたという実例です。
以下の記事で、各住戸のリフォーム内容をご紹介していきます。