福祉用具/リフト【50代リフォーム:79】

福祉用具であるリフトは、ベッドや浴槽・便器などから車いすへの乗り移りや部屋間の移動のために使用します。

建築工事を伴うリフトは、大別すると、支柱を立てて吊る「固定式リフト」と、天井のレールに沿って吊り具が移動して浴室やトイレなどの目的の場所に行く「天井走行式リフト」に分かれます。その他に、大がかりな工事をせずに据え置く「据え置き式リフト」「床走行式リフト」もあります。

「固定式リフト」は、支柱を取り付ける壁や天井を補強する必要があります。支柱に取り付けられたアームに吊り具をつけて移動するタイプなので、アームの回転範囲内でしか動くことはできません。そこで支柱を立てる位置は、十分に検討する必要があります。

浴室に設置して脱衣室から浴室内の洗い場、洗い場から浴槽への移動ができるタイプもありますので、浴室への段差がとれないケースでは有効です。

「天井走行式リフト」は、必要な場所に移動するための動線と、レールの位置を合わせなくてはなりません。たとえば、浴室・トイレ・ベッドをい直線に並べるというように、動線を単純化しておくことが大切です。

また、乗り移りの対象となるベッド、便器、浴槽などと、レールとの位置関係や天井照明の位置などにも、きめ細やかな設定が求められます。従って、リフトが必要な場合は、リフォーム計画の早い段階で、メーカーなどと打ち合わせする必要があります。

リフトのレールは、梁などの構造体に固定します。天井の高さは、2.4mは必要です。移動の経路や室内移動などで、開口部や建具を変更しなくてはならない場合もあります。本人が器機を操作する場合は電動式、介護者が行う場合には手動式または電動式から選びます。

【リフトの例】

●天井走行式リフト
寝室・トイレ・浴室へ移動するために設置する天井走行リフト。天井いっぱいの建具枠に切り込みを入れて、レールを通す。下がり壁がとれない場合は、天井走行式リフトの機種を対応型にする。

【文京の住宅】左から浴室、寝室、トイレ.天井走行リフトで移動することができます。設計:吉田紗栄子+深澤明/写真提供:深澤設計 一級建築士事務所

●水圧で作動する入浴用リフト
入浴用リフトは、支柱を立てて、浴室の壁に補強材を設置し、水圧を利用して動かすタイプ。水道栓から分岐するか専用推薦を用意する必要がある。

福祉用具/段差解消機の記事はこちら

 

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO@ノルウェー ウルルヘルシビッグの個室に設置されたリフト
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