建築好きな人の間では知らない人はいないという、建築家 阿部 勤さんの自邸「中心のある家」。本書はその自邸を、著者自らがスケッチで描き、絵本として解説したものです。
線画で描かれたスケッチは、あえて真っ白なまま。読者が自由に自分らしい心地よさをイメージしてほしいという著者の思いから、色をつけていません。読者が想像しながら色をつけても楽しめます。
十字路に面して、建物の配置をずらしてあえて三角形のスペースを設けた住まい。
二重の囲いと、家の中心の場所。
ペニンシュラ(半島型)キッチン。
内と外とがつながったかのような空間。
秘密基地のようなさまざまな場所や空間にはお気に入りのオブジェや本、道具が溢れていて、これらをスケッチでたどっていくと、まるで「中心のある家」に招き入れられたような読書体験が得られます。
「中心の家」の考え方を通して見えてくる「心とのかかわりを深く持つことができる家」。自分にとっての心地よさや暮らしについて深く考えることができる一冊です。
書籍を読んで興味を持ったら、ぜひ中山美穂主演の映画『蝶の眠り』も見てください。阿部さんの「中心のある家」が主人公の家として印象的に使われています。
※本書は、2005年・インデックス・コミュニケーションズ刊『中心のある家』を底本に、再編集・一部改訂して復刊されたものです。