田舎に終のすみかを購入—The View From 80’s【2】

20年ほど前、一人娘が婿どののふるさと熊本県の南阿蘇村で農業をすると言ったとき、私たち夫婦の終のすみかは南阿蘇村と、心に決めました。

娘に遠距離介護はさせられない、というのがその理由です。

 

それから10年近くたったある時、娘の家から1キロのところにある空き家を見に行きました。

その景色のよさに一目惚れ! 即座に買うことにしました。

土地120坪、築45年46坪の母屋と、100年以上経っていると思われる納屋がついて450万円でした。

家の前にある一段下がった一反(300坪)の畑は、農家でないと買えないので、婿どのが買ってくれました。

まるでテレフォンショッピングのように、畑のおまけに、あと2箇所の土地もつけて50万円とのことでした。

でも婿どのは「おまけはいらない」と断りました。

都会で考えている土地信仰とは違うのです。土地は、買ってからの管理が大変だそうです。

 

終のすみかが決まっているというのは、心安らかなことです。

東京生まれ・東京育ちの私にとって、いきなり農村の暮らしは無理だろうと思い、月の内の1週間を阿蘇で暮らすことからはじめました。

まったくちがう2種類の暮らし方を行き来することで、いまでは暮らしが豊かになったと感じています。

 

その後のリフォームや、熊本地震、2拠点居住の基地となるマンションの購入計画などについては、追々お伝えしていきたいと思います。

 


吉田紗栄子
(有)ケアリングデザイン一級建築士事務所 代表、一般社団法人ケアリングデザイン 理事、NPO法人高齢社会の住まいをつくる会 理事長。一級建築士・バリアフリーコンサルタント。“高齢である” “障害がある”ということも大切な個性と考え、身体障害者・高齢者と建築との関わりをテーマに、住宅、福祉施設等を設計。
ケアリングデザインアーキテクツ
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