光熱費は年金生活を視野に入れて【50代リフォーム:88】

50代でリフォームすると、会社員の方の場合はまもなく定年が訪れます。年金の支給額すら目減りする、日本の年金制度を考えれば、自衛策は必要です。月々の光熱費が家計を圧迫する、という事態だけは避けたいものです。

コンロは安全なIHヒーターにしたい、床暖房や給湯を電気にしたいなど、熱源を際限なく電気に頼ると、電気容量を増やさなくてはならず、それに伴って、基本料金も上がります。このことを視野に入れて、設備器機の選択をしてください。

設置時のコストは多少かかりますが、太陽熱を使用するという方法もあります。屋根にソーラーパネルを取り付け、集めた熱をお風呂やキッチンの給湯に使います。余剰電力については、2019年に太陽光発電の固定価格買取制度が終了しましたが、売電以外に余剰電力を蓄電池に貯めて必要なときに使うという方法もあります。

資金にゆとりがあるうちに設備投資をし、その燃費を節約するというのも一案です。ただし、イニシャルコストと燃費節約分を比べると、設備投資した分の元を取るには長い期間が必要なようです。

時代によってエネルギーの価格は変動します。エネルギーのみに頼るのではなく、家のつくりも考えたいものです。大規模リフォーム時には、日当たりや風通し、間取りや断熱性能など、省エネルギー対策を考えておくことも、長期的な視野での光熱費の軽減につながります。

人にも建物にもやさしい風の道

■高齢夫婦無職世帯(夫 65 歳以上,妻 60 歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支 (2019年)

総務省統計局による家計調査(2019年)によれば、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入は237,659円。その9割が、社会保障給付金からの収入です。実収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は206,678円となっています。
一方で、 消費支出は239,947円、税金や社会保険料などの消費を目的としない非消費支出は30,982円となっており、毎月33,269円が赤字です。これら不足分は、貯蓄などを取り崩して賄っていると考えられます。
光熱・水道費は月平均19,983円(消費支出全体の8.3%)となっています。この費用が増えれば、赤字額がその分増すということになります。

 

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©AID /amanaimages
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