有元葉子『「使い切る。」レシピ 有元葉子の”しまつ”な台所術』

「“買って、捨てる” 暮らしはもうやめにしましょう」。

料理研究家 有元葉子さんの著書はたくさんありますが、『「使い切る。」レシピ 有元葉子の”しまつ”な台所術』は、「“買って、捨てる”暮らしはもうやめにしましょう」という考えのもとに、食材を“おいしく「食べきる」”ためのレシピや、すぐ食べられるための台所の「まとめ仕事」が紹介されたものです。

たとえば、しいたけの軸、セロリやにんじん、大根の葉っぱ、きゅうり1袋、キャベツ大玉1個、冷蔵庫で行き場がなくて余らせがちな食材を食べきるためのレシピ。野菜は、どれひとつ捨てるところのない食材なのだということがわかります。いえ、それより、いままで捨てていたことが申し訳なくなる美味しさです。

この本を読んでから、きゅうりのサンドイッチや、セロリの葉っぱのスープは、我が家の定番となりました。

思えば私たちの親世代には、つつましく物を無駄なく使い切る“しまつ”の心が息づいていました。出汁を引いたあとに出しがらの昆布と鰹を佃煮にする、春先のにんじん葉は葉先をつまんでごま和えにする。親があたりまえにやっていたふだんのごはんが、いかに先人が智恵を尽くされて引き継がれてきたものか、ようやくわかってきました。

いま、中高年のひとり暮らしやふたり暮らしの住まいが増えています。ついつい買いすぎて食材を余らせてしまう、冷蔵庫や冷凍庫で何年も前の食材を保管している、だから出来合いのお総菜を買う方が楽という安易な方向へ行くのではなく、「食べきる」「使いきる」という心でおいしく食べて暮らす方向へ、いま社会全体がシフトしていきたいものです。そのことを考えるきっかけにもなる本です。

“買って、捨てる” 暮らしをやめることは、食べることやつくることだけでなく、私たちの暮らし全般にいえることなのです。

 

有元葉子『「使い切る。」レシピ』(講談社)2015年

表紙のレモンは、有元さん流のレモンを使い切る方法。どうやるのかは、本を読んでみてください。

有元葉子公式サイト ARIMOTOYOKO.COM

この他に、
有元葉子『使いきる。 有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭』(講談社)2013年
もあわせて読むとより楽しいです。こちらは、整理、片付け術、家事の流れの作り方のお話。表紙のミトンは、当て布をして繕ったもの。長年使ってきた道具の味わいがよく出ています。

 

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