9月21日(土)から、神奈川県立近代美術館 葉山で、日本とフィンランドの国交樹立100年とカイ・フランクの没後30年を記念して、日本の美術館では初となる大規模個展が開催中です。
フィンランドデザインの巨匠、カイ・フランク(Kaj Franck)は、1940〜1980年代にかけて活躍したプロダクトデザイナーです。
「フィンランドデザインの良心」と呼ばれる彼の作品の真髄は、「デザインとは、デザイナーが名を残すことではなく、人々の日常で長く使われ、必要とされるためにある」という彼の言葉に最もよく表されてます。
アラビア社の陶磁器デザイナーやイッタラ社のガラスデザイナーとして、数々の名作を生み出してきたフランク。彼がデザインしたKartioカルティオ(イッタラ社)、Teemaティーマ(アラビア社)は、いまも世界中で愛されているロングセラープロダクトです。
日本の美術館での初個展となる本展覧会は、カイ・フランクの幾何学的造形に着目した国際巡回展です。いまもロングセラーとして知られる数々のプロダクトをはじめ、技巧を尽くしたガラス作品など、フィンランド・ガラス博物館の所蔵品とタウノ・タルナ氏のコレクションからなる約300点の作品を展示します。
さらに本展では、フランクが日本を訪れたときに撮影した写真も初公開されます。
幼少期から日本に深い関心を持っていたフランクは、1956年に初めて来日します。この訪日でフランクは、北大路魯山人、河井寛次郎、濱田庄司、加藤土師萌ら日本の著名な工芸関係者を訪ね歩いて交流を深めました。なかでもフランクが最も魅了されたのは、日本の市井の人々の生活や手仕事、農村部の風景でした。
フランクが亡くなる前年の1989年にヘルシンキ美術大学で開催した展覧会「ルニング賞での日本への旅行 1956 ―アジアにおけるひとりの異邦人―」では、この初来日で撮影した日本の人々の生活や風景の写真展示の他に、フジツボがびっしりとこびりついた古びた蛸壺や鉄瓶といった、日本から持ち帰った日用品が展示されて注目を浴びたといいます(※)。
本展では、来日時に撮影された貴重な写真を厳選して紹介。写真を通して、カイ・フランクが日本に注いだ眼差しを知ることができます。
日本の工芸品とその考え方には、フィンランドと共通するものが多くあると考えていたカイ・フランク。日本への視点は、彼のデザイン思想の根本を深く知る一助になるに違いありません。
日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年
カイ・フランク
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
会期:2019年9月21日(土)–12月25日(水)
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室2・3
開館時間:午前9時30分–午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(9月23日、10月14日、11月4日は開館)
主催:神奈川県立近代美術館、NHKプロモーション
特別協力:フィンランド・ガラス博物館、タウノ&リーサ・タルナ・コレクション
協力:カリモク家具株式会社、日本航空、フィスカース ジャパン株式会社
後援:フィンランド大使館
観覧料:一般1,200(1,100)円/20歳未満・学生1,050(950)円/65歳以上600円/高校生100円