還暦からの第二の人生【小島さんとマリーさんの暮らし①】

一般では、結婚から定年までを第一の人生とするようだ。私の第一の人生は、結婚後、がむしゃらに流通大手の企業で仕事をしながら、娘2人の子育てを終え(これはほとんど元・妻さんのおかげかも)、仕事の関係から53歳でサラリーマン生活を終了したところまでとなるのかもしれない。一時期は、これで引退してもいいかなと考えていた。

とはいえ、53歳で定年とは早すぎる。少し充電期間を取ってみようと考えていたところ、高名なプロダクトデザイナーS氏から声がかかり、インターナショナルな家具メーカー創設を手伝うことになった。準備万端、順調にスタートを切ったところで、S氏の突然の死。

その後、私はキーパーソンとなる人々と出会い、さまざまな業界や社会を経験し、自分自身を見つめ直して、新たな自分と向き合うことになる。いわば第一の人生の延長だ。

S氏の死後、この家具メーカーは順調に成長し、いまや業界での地位を確立している。いま振り返ってみると、もしS氏が生きていたら、現在の自分はここになかったかもしれない。

そんな経過のなか、当時58歳の私はまさに第二の人生を考え始めた。自分にとっての第二の人生とは?

考えて見えてきた夫婦相互の理想の老後人生が、都会派と田舎暮らしの自然派という右左に分かれてしまった。

ならば私の還暦を目標に、夫婦各々の理想の人生を歩むことで準備を進め、私の60歳(還暦)に離婚届けを提出することとなった。

還暦とは、60年で干支=人生の暦がひと回りして、再び生まれた歳の干支に戻るということ。還暦で赤ちゃん(赤いちゃんちゃんこを着る意味もここにあるという)に戻り、ゼロスタートに戻るということだ。まさに、第二の人生がスタートするにふさわしいタイミングといえる。

そんなこんなで還暦から私のシングルライフが始まった。

PHOTO:KAZUO KOJIMA
この記事をSNSでシェアする
タグ: ,

関連記事