入れたくない、出したくない…音【50代リフォーム:91】

音は、上下左右、背後、どこからでも聞こえてきます。そして音は、聞く人の意思とは関係なく耳に届きます。やっかいなことに、聞く人の心理的、生理的状態によっても、同じ音が気になったり、ならなかったりするものです。

人やペットが歩く音、いすなどを移動するときに出る音、大きな物が落ちたときに起きるドスンという音、あるいは、住宅の外から聞こえてくる話し声やその他の不快な音。これらは、家族だけでなく、隣家にも音の公害をふりまいているかもしれません。

さらに年をとると、聴覚にも変化が現れます。個人差はあるものの、少しずつ聞こえにくくなります。特に高周波、たとえばフルートのような音から聞こえにくくなります。逆に低周波の音に悩まされるということも明らかになってきています。トイレの給排水音や冷暖房機のモーター音など、若い頃にはあまり気にならなかった音も、騒音として感じるようになります。このような状況も念頭に置きながら、リフォーム時に音への対処方法を考えておくことは重要です。

聴覚:五感の変化⑤

避けられない身体の変化

リフォームしたばかりに、新たな音の問題が起きる可能性もあります。マンションの床材をカーペットからフローリングにしたため、下の階から苦情が来たという話はよく聞きます。リフォーム時には、吸音・遮音・防音の面から、音についてチェックしてください。

慎重に選びたい床材

外からの騒音は、空気の振動として伝わってきますので、その振動を遮断する建築材料を使って防ぐことができます。一般に厚み、密度の高い材料が有効です。たとえば、コンクリートやコンクリートブロックのような重い材料、あるいは空気層をつくるなど。鉛でできた遮音シートもあります。さらに隙間をなくしたり、サッシを二重にしたりすれば、遮音効果が高まります。

室内の音の調整には、床、壁、天井に吸音性の高い仕上げ材を使います。そのほか、いすを布張りにしたり、厚めのカーテンを使ったりすることで、音をやわらげることもできます。

室内で出す音がもれないようにするのが、防音対策です。楽器を演奏する方や、これから始めたい方は、思い切って防音室をつくるのも一案です。贅沢なようにも思えますが、自分の時間が増えたときに、家族やご近所に遠慮をしないで思い切り演奏する醍醐味は、50代のリフォームだからこそ実現できることのひとつと言えるでしょう。

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©ASU/amanaimages
この記事をSNSでシェアする

関連記事