お風呂は2人で【50代リフォーム:69】

「エッ、いまさら夫婦で入るの?」と、思われるかもしれません。もちろん、それも素敵なこと。

将来、1人で入浴することが少し不安になったとき、さらに介助が必要になったとき、大がかりなリフォームをせずに済むよう、広めのお風呂にしてはいかがですか。

とは言え、一戸建ての場合は浴室を広げることはできますが、集合住宅では制約があって広げられない場合も出てきます。しかし、まったく方法がない訳ではないので、専門家に相談してみるとよいでしょう。

浴室を楽しみの空間に

厚生労働省の人口動態統計によると、高齢者の「家庭の浴槽での溺死者数」は、2018年に5,072人で、2009年の 3,257人と比較し、9年間で約 1.6 倍に増加しました。高齢になるほど、血圧に影響する因子( 急な寒暖差 、風呂の水圧、急に立ち上がる、食後、飲酒後<薬の副作用)によって、浴室での溺水や転倒事故のリスクが高まります。

消費者庁「みんなで防ごう高齢者の事故!-冬はお餅の窒息事故、入浴中の溺水事故が起きやすい季節です- 」(2019年12月18日)

お風呂のリフォームでは、安全面への配慮が第一です。

まず、浴室と脱衣室の床をフラットにします。今はユニットバスが主流ですが、フラットなタイプも多くありますのでよく確かめて選ぶようにしましょう。現場で施工する場合も、グレーチング(排水用の溝)を脱衣室と浴室の間に入れます。ただし、この排水溝は扉にあたって流れてくる水を流すものなので、洗い場の排水は別にとってください。扉を閉めれば、脱衣室に水が漏れてくることはありません。

床材は滑りにくいものを選びます。ユニットバスの床にも、滑りにくいものがありますから確認してください。壁材は、手すりがつく場所をあらかじめ補強しておくことが必要です。

浴室の出入口は、できれば引き戸にしたいものです。有効開口幅が70㎝以上とれるものを選びましょう。1本引き戸で開口幅がとれなくとも、3本引き戸なら間口の2/3の有効開口幅がとれます。

引き戸は、開き戸や 折れ戸と違って、洗い場のスペースを取りません。浴室内に洗い椅子を置いたり、介助したりするのに楽です。また、万一洗い場で倒れても、扉が開かなくなることがないので救出しやすくなります。

出入口サッシの下部には、転倒してぶつかったときのことを考えて、アルミパネル、強化ガラスやポリカーボネートなどをおすすめします。開き戸の場合は、万一のとき外から救出できるようにガラスを外せるタイプを選びます。

浴室や脱衣室を安全な場所にすることは、健康寿命(心身共に自立して健康的に生活できる期間)を伸ばすことにも役立ちます。
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バリアフリーは一種の保険

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©© MANZO NIIKURA
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