排泄は人間の尊厳にかかわります【50代リフォーム:54】

人の手を借りずにトイレで用を足したいとは誰もが願うこと。

それほど排泄は人間の尊厳にかかわります。介助が必要になっても、介助する側・される側が、お互い負担の少ないトイレに改造しやすいプランを考えておくことは、50代リフォームにとって大切なことです。

「広いトイレはぜいたく?」で述べたように、トイレの位置は寝室に隣接して設けることが必要になります。将来的には廊下を通らずに、寝室から直接トイレに行ける平面計画にしておけば万全です。

隣接する壁を取り払ったり、寝室横の物入れや納戸をトイレに改造できるように、配管などを準備しておけば対応できます。これで、排泄の失敗が減り、寝室・廊下・トイレの部屋ごとの急激な温度差のために倒れる危険も減ります。

多少歩行が困難でも自力で用を足せるならば、一般的な広さのトイレの壁面に手すりをつければ対応できます。ただし、車いすを使ったり、介助者が一緒に入ったりする必要が起きた場合には、1坪分の広さがとれるよう、改造可能なスペースを準備しておきます。

トイレを広げることができない場合でも、廊下のスペースを上手に利用することで介助スペースをつくることもできます。

あらかじめ広めのトイレにしたときには、便器の位置は片方の壁に寄せておきましょう。便器が真ん中では、壁付けの手すりに届きにくいばかりか、広くしたのに車いすで入れないということになるからです。車いすで便器に近付くときの必要スペースについては、次回別の記事でご紹介します。

将来に備えたトイレ

自宅マンションのトイレは、寝室と洗面室の2つの入口があります。奥の扉に寝室があり、手前の扉は洗面室と浴室に続き、3枚の引き戸式(ひきドア/DAIKEN)の扉を大きく開放して車いすでも使えるようにしています。

 

 

 

別の事例では、引き戸を開ければ寝室と直結するトイレ。この他に廊下側からの出入口がある。

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©AID /amanaimages
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