居間・食堂の考え方【50代リフォーム㉛】

欧州では、家事参加が男性の役割のひとつとして自然に考えられています。男女を問わず大学生ともなれば、自宅を離れて友人とアパートを借り、炊事洗濯などをこなします。必要な生活技術は、それまでに子どもに身に付けさせる——母親にすべての家事を任せて気ままな独身生活を送る日本の子どもたちとはだいぶ違います。欧州のようなスタイルならば、夫が妻に先立たれたとしても自立した生活を送れます。

デンマークで、最近奥様を亡くされた80歳の男性を訪ねたことがありましたが、家はきれいに片付き、庭の手入れもされ、その上、手料理で知人をもてなすなど、日本の男性からは想像もつかないものでした。

高齢社会の住まいづくりは、まず人づくりから始めることがポイントではないでしょうか。50代で行うリフォームは、家族誰もが家事に参加できる場をつくることが大切だと思います。

また、若い時期から仕事以外に夢中になれるものをもつことは、年を重ねても生きがいのある生活を送る上で重要です。趣味のコーナーや書斎の機能を、居間・食堂に加えておけば、いまからでも楽しい、しかも豊かな老後につながる嬉しい空間になることと思います。

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©Shinya Sasaki/a.collectionRF /amanaimages
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