ペットと暮らすコツ【50代リフォーム⑮】

子どもが独立して夫婦2人になると、犬や猫などのペットを飼う人が多くなります。ペットのいる家は、ペットにとっても住み心地のいい住まいにすることが大切です。

ペットは人間より早いサイクルで歳を取ります。ペットの種類によっても異なりますが、最長でも、15〜17年で天寿を全うします。身近にいる高齢のペットを介護することで、バリアフリーの大切さを学ぶことができます。

最近の犬や猫は、ワクチンや駆虫剤の質がよくなってきたことや、室内で飼うようになったために、感染症や心臓病が減り、平均寿命は延びています。その反面、知覚障害や認知症の高齢犬や高齢猫が増えています。

そうした高齢の犬や猫は、住環境を変えることがストレスの原因になりますので、できるだけ住み慣れた家で最期を迎えさせてやりたいものです。けれども、おもらし、寝たきり、ボケてしまった犬や猫の介護で、体を壊す飼い主も少なくないそうです。

「寝たきりにさせない」「筋肉を落とさない」ために、犬や猫が若いうちから、高齢になったときのシミュレーションをすることは、飼い主にとっても介護の軽減につながりますし、そのまま人間にも当てはまります。

犬や猫も高齢になると、滑りやすい床材は足腰を痛めます。そのため、床をコルクにする、段差をなくすなどの配慮が必要です。高齢の犬が20cmの段差を越えることが困難になったため、高さ10cmの置き台を作ったところ、犬だけでなく飼い主も喜んだという例もあります。

 

■犬への対応

  • 外からの音はできるだけ遮断する
    外からの音はストレスになるので、窓に遮音効果のあるカーテンをつけると効果が得られる。
  • 足への負担の少ない床材を選ぶ
    フローリングではグリップが効かず、滑りやすくなってくる。後肢のトラブルも多いようだが、場合によっては脱臼や骨折の危険もある。
  • 床材は目地の少ないものを選択する
    目地には汚れが残りやすく、臭いの元になる。また、水分も残りやすく、そのまま放っておくと床材の劣化にもつながる。
  • 手入れのしやすい壁紙を使用する
    廊下の壁は犬が擦り寄ることで汚れやすくなっている。
  • カーテンや壁紙には消臭素材を活用
    カーテンや壁紙は臭いを吸着しやすいもの。でも、消臭素材を活用すれば室内環境の改善に効果的。
  • 意外と響く犬や猫たちの足音
    マンションでは、犬や猫たちの爪の音が、小さい音でも神経に障る音となって階下のお宅に伝わる恐れがある。

■猫への対応

  • 抜け毛による排水管の詰まりを予防する
    細かな抜け毛が排水管を詰まらせないように、茶こしやストッキングを利用して排水溝をガードすると効果的。
  • 爪とぎ防災対策
    猫に狙われやすい柱や角のでっぱりは、ツルツルしたもので保護するとともに、その猫好みの爪とぎでカバーするとよい。
  • 汚れやすい部分の壁には腰壁を
    汚れやすい壁を腰壁にすると、いざというときの貼り替えが簡単。
  • 毛もどしや食べこぼしに配慮
    猫はグルーミングした後、体内に飲み込んだ毛の一部を吐き出すことがある。簡単に掃除できるシート状の床材を利用するとよい。
  • 気になる臭いをこまめに除去。おすすめは「光触媒」
    消臭機能を持ったカーテンや壁紙を活用して、いつも清潔で気持ちのよい空間を維持するようにしたい。
(資料提供:一級建築士 金巻とも子)

 

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO© IDC/a.collectionRF/amanaimages
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