エネルギーの節約と結露防止【50代リフォーム㊶】

夏は涼しく冬は暖かく、というのが住まいの理想です。

その実現のため、いまでは冷暖房は欠かせない存在です。冷暖房はエネルギー消費量が多いので、できるだけ効率よく使うために建物の断熱性を高めることが必要です。

「断熱」という視点が個人の住まいにも取り入れられるようになったのは、住宅金融公庫(現:独立行政法人住宅金融支援機構)が、貸し付けの基準に「断熱」という項目を入れた1980年代の終わり頃からです。それ以前に建てられた家には、断熱材が入っていないことが少なくありません。

断熱材を入れるには、壁の仕上げ材をはがさなければいけないため、単独で工事をするよりもリフォーム時に行うと効率的です。断熱材が必要なのは、屋外と屋内とが接している場所です。結露防止にも役立ちます。

壁面に入れる断熱材を、以下にまとめてみました。

一般的には、木造建築には無機繊維系のグラスウールやロックウール、鉄筋コンクリートではウレタン吹き付けなどが多く使われています。また最近では、木質繊維系や、環境に配慮した天然素材系のエコ断熱材なども選択することができます。それぞれ性能が異なりますし、価格も幅があります。住まいの立地条件や日照条件を考えて、施工可能な材料や工法を選ぶわけですが、期待する断熱効果が得られるかどうかは、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

暖かい部屋は、それだけで気持ちを和ませてくれるものです。家で過ごす時間が長くなる50代以降こそ、快適な住まいにしたいものです。

 

【断熱材の種類】

■無機質系断熱材

  • グラスウール
    ガラスの原料を高温処理して繊維状にしたもの。木造住宅の床・壁・天井で使用されている。断熱材の中で最も多く使われ、吸音性・防音性に優れる。
  • ロックウール
    断熱性の高い鉱物を高温処理して繊維状にしたもの。断熱材が高いので、グラスウールより薄くできる。延焼防止に効果があり、吸音性・防音性に優れる。

■木質繊維系

  • セルロースファイバー
    天然パルプほか古新聞紙などのリサイクル素材が主原料。繊維の中の気泡に含まれる空気が、優れた断熱性・防音性を発揮する。素材そのものに吸湿性・調湿性があり、断熱材の内部結露を防ぐ。
  • インシュレーションボード
    木材から取り出した繊維質を板状に成型加工した断熱材で、軟質繊維板ともいう。原材料は、リサイクル木材や未利用木材を使用。高い断熱性を吸放湿性を備え、内部結露を防ぐ。ホルムアルデヒド未使用。

■発泡プラスチック系断熱材

  • 硬質ウレタンフォーム
    細かな気泡で形成された断熱材。最も優れた断熱性がある。板状に加工されたものと現場で直接吹き付けるものがある。
  • ポリエチレンフォーム
    細かな独立気泡で発泡された断熱建材。耐久湿性、耐久水性に優れている。現場の施工精度に合わせて、隙間なく施工することができる。断熱・防水性を必要とするところに使われる。
  • ポリスチレンフォーム
    ひとつひとつの粒の中に独立した気泡構造を持つ断熱建材。水や湿気に強く軽量、緩衝特性、断熱性、耐水性に優れる。金型で成型するため自由な形に仕上げられる。押出発泡ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、高発泡ポリスチレンなどがある。
  • フェノールフォーム
    フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えて、ボード上に形成した断熱材。断熱性、耐火性に優れる。炎で有毒ガスがでないため、不燃・準不燃材料の認定。

■天然素材系断熱材

  • 羊毛や炭化コルク
    羊毛や羊毛をリサイクルした衣類などの自然素材を使用。湿度を一定に保ち、調湿製に優れる。

 

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©yonehara keitaro/a.collectionRF /amanaimages
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